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佐々木毅・東大名誉教授

 自民党派閥の裏金事件を受け、政治資金規正法改正案が19日成立した。「平成の政治改革」の立役者は、「令和の政治改革」をどう評価するのか。当時、民間政治臨調の主査として議論をリードした佐々木毅・東大名誉教授に聞いた。

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 リクルート事件は同社側から誰にいくら渡ったかが焦点だったが、今回は政治家が自ら裏金作りをしていた点でより深刻である。しかし、後始末ができたとは思えない。

 政治とカネの問題では、細部に悪魔が宿り、抜け穴となる。今回はやたらと「検討」が多く、規制力のある法律になったと言えるか疑問だ。

 ブラックボックスと批判されてきた政策活動費の10年後の領収書公開も、何をどう出すのか分からない。監査を担う第三者機関がしっかり設計されていれば、後から不備を補える可能性もあったが、そのあり方すら「検討」では、何をか言わんや。永遠に店晒(たなざら)しにされる恐れもある。

最後まで見えなかった改革の意思

 平成の政治改革で、自民党は問題を大きく広げ、金権派閥政治のあり方そのものにメスを入れようとした。1989年の政治改革大綱は、後藤田正晴・元官房長官が中心になってまとめた。かつての自民党には、派閥政治とともに、党派を超えて国家プロジェクトに取り組む力があった。

 それに比べて今回は、政治改…

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